うずまき2017 powered by Jun-Systems

耳管開放症, SAS, 統計解析, 人工知能, プログラミングそれに思考

*

ビッグデータと情報売買

   

「これからはビッグデータの時代だ」と言われ始めてそれなりに経ってみて感じたことを書きます。
 

土壌整備の必要性

まず、現状としてビッグデータの活用には様々なしがらみがある。
それはまず、法整備はもちろんだが、それ以上に人々の印象としての問題が大きい。
「ビッグデータの活用」といえば聞こえはいいが、逆に「個人情報の売買」と表現した途端に人々は目の色を変えて猛反対を始める。
NTTの『モバイル空間統計』JR東日本のSuicaの話などはSNSでも結構話題にのぼっていたように思う。
上のSuicaのリンクに貼ったJR東日本のPDFにもあるが、
 

Suica に関するデータを社外に提供することによって、各駅の特性に合わせたマーケティング情報が提供され、サービス品質の向上と地域や駅、沿線のさらなる活性化が図られることを期待しています。

 
個人的にはこの取り組みはかなり面白いと思っていただけに、提供を延期するのは非常に残念だ。
仮にそこに「個人を特定できない形に匿名化処理を行っている」といっても反対する人はどこまでも反対する。

当社では、Suica の鉄道でのご利用データのうち、乗降駅、利用日時、鉄道利用額、生年月(日は除く)、性別及び SuicaID 番号を他の形式に変換した識別番号からなるデータを統計分析用に提供します。
当社からの提供先では、データを統計的に分析し、駅の利用状況の分析データをさまざまな分類でまとめた分析リポートを作成し活用します。
なお、当社が提供するデータには、氏名や連絡先など個人が特定できる情報は含まれておりません。
※SuicaID 番号とは、当社が発行する Suica に割り振られた固有の番号です。

このIDを振らなければいけない理由は非常に単純明快だ。
匿名化し、個人が特定できないようになっているがために、同じ利用者のSuica使用履歴をたどっていけるようにするだめだ。
これをうまく使うことで、たとえば「XXX駅から毎朝YYYの電車に乗るZZZ代の男性の多くは、毎朝駅の中のコンビニで飲み物と一緒にWWWを買うことが多い」といったパターンを発見することができるわけだ。
これに従って店内の陳列を変えたり、他の駅のコンビニでも同じような取り組みをしてみたり、ということから利益の改善はもちろんだが、「利用者の求めるものを的確に提供することで、利用時間を短縮したり、混雑を緩和、その結果として利便性を高めること」にもつながる。
 
現状でも、たとえばリクルートなどの企業はかなり大規模なビッグデータ分析を行っているし、IBMや日立はそのようなビッグデータ導入の、より規模の小さな企業への適用を進めている。
 
ここで特筆すべき違いは、反対されるのは軒並み「他社から購入(譲渡)されたデータ」であるという点。
つまり、自社で集めた顧客データを自社のマーケティング展開のために活用するのは、(もちろん反対することもできるが)規約でそう断っている限りは当然可能なのである。
 
消費者側から見た時の不満は、「A社のために提供した俺の個人情報がなんでB社のために使われないかんのよ」という点に尽きるのであろう。
しかしながら、企業のビッグデータ活用において必ずしも自社で集めた既存のデータのみしか使用できないというのは、非常に効率が悪いのは間違いない。
 

データ売買の形の変容

従来、個人情報の売買というと、ある企業に登録した個人情報が他企業に売り飛ばされ、その結果として「家に不要なDMが届く」とか「迷惑メールが大量に届く」といったイメージが非常に大きかったように思う。
そこで売買されるのは生の顧客情報そのものであるが、裏を返せば単なる住所録の売買である。データを買った企業は、特にそれを分析するでもなく(せいぜい住んでいる地域や年齢の人だけを振り分けるとかその程度)営業をかけていくわけだ。
 
そもそも考えてみてほしい。
このビッグデータ分析がこれからのマーケティング手法として囃し立てられているのは、そのような思考停止した我武者羅なやり方ではダメだと分かったから、もしくはこちらの方がより効率がいいと判断されているからに他ならない。
 
ビッグデータの分析に必要なのは顧客ひとりひとりのデータではなく、全体としての潮流(パターン)なのだということを決して忘れるべきではない。
 

どうするべきか

現在、既に市場では様々なビッグデータ活用ビジネスが繰り広げられている。
それは、ビッグデータ業界に頭を突っ込んでいるぼくでも、「へぇ、こんなやり方をしてる企業もあるんだ」と面白みを感じられるほどのものだ。
 


たとえばこの雑誌なんかはそうだが、現在の具体的なビッグデータ活用ビジネスを様々に紹介している。
(本当はこの記事の中の具体例をいくつかピックアップしながら記事を書きたいんですが、それは不可能ですので、気になる方は各自読んでほしいです。)

このままビッグデータの活用をさらに進めてゆきたいのであれば、中小企業などへのより一層の浸透を図り、必要性の認識を行わせなければならない。
しかしながら、現実的に考えた時に、中小企業がいちからデータを集めて分析を行うというのは、コスト面でも時間的な面でも非常に難しい。
あらたにデータを蓄積するためのサービスを立ち上げ、その利用者を募るためにさらにマーケティングに資本を割くというのはあまり現実的ではない。
 
もっと多様な分析を可能にするためには、ある程度構造化されたデータを量り売りするようなサービスは必須となってくる。
マーケティングといえばアメリカが進んでいるといわれるが、せっかくこのような潮流の中でデータサイエンティストを養成したところで、国内の法整備ができていなかったり、ましてや国民のイメージが悪かったりしたことで自由な分析ができないとなれば、優秀なデータサイエンティストはみるみるうちに海外へと流出し、また日本は遅れをとることになるのである。
 
法整備という面でいうと、政府もビッグデータ活用を奨励するため、様々なデータの公開を行っている。
その流れで、より自由な分析を可能にする法整備まで進めてゆけるといいと感じた。
 
そこに考えられるリスクについてはまた。
 


 - ビッグデータ

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
2014年IT関連まとめ
クラウドストレージ入門 – Amazon Driveを例に –
no image
データ分析の重要性とオープンデータ活用の潮流
no image
ITの未来について考えてみた
no image
SASのPROC HTTPでe-statのAPIを叩く(叩くだけ)
no image
ビッグデータ分析の話