TA-TI 2ndアルバム『Nice II Beat U』参加、あとは新曲とかレーベルとか。

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ここしばらくはリリースラッシュでした。まずはぼくがビートメイカーとして参加したラッパーTA-TIのセカンドアルバム『Nice II Beat U』の紹介から。

Nice II Beat U / TA-TI




リリシストTA-TIの出会い(生誕)から別れ(死)の物語。数々のヒット曲を手掛けて来たジャジーヒップホップ界の巨匠”VOLTA MASTERS”が総監修!!

世界各国の才能が参加したTA-TIのニューアルバム “Nice Ⅱ Beat U”出会い(生誕)から別れ(死)をテーマに作られ、HIPHOPのアート(芸術的)側面にフォーカスされた作品!!ジャジーなサウンドに日本語の良さを最大限に活かした詩的表現のリリック(言葉)が流れるようなフローで紡ぎだされる!!
●フランスからプロデューサー”KarmawiN”(BSC CREW)●クェートからMC”2RABU”(BSC CREW)
●ニューヨークからMC”DistantStarr”(BSC CREW)●新進気鋭のプロデューサー”iadonik”(BSC CREW)
●ミスターB.S.CことMC”RESIN”(BSC CREW)
●DMC JAPAN チャンピオンのDJ”TAIJI”(BSC CREW)●10年来の盟友プロデューサー”yotti”(DRY)
●名古屋の多彩な敏腕プロデューサー”lunniebeats”(Excess Recording)
●”VOLTA MASTERS”が総監修!!



まずファーストインプレッションとしては、「1枚目とは打って変わって全曲通してかなり粒が揃ってるな」というのが率直な感想(作風としても質としても)。これは結局のところビートによるところが大きく、つまるところNujabesやVolta Masters好きというTA-TIの嗜好がビート選びにかなり顕著に出ている。アルバム全体を通して基本的にはジャズっぽい儚いピアノを基調としつつ、時にかなりアナログに(特にビートメイカーIadonikのアナログ感へのこだわりは手に取るようにわかる)、時にかなりジャズ寄り、といった形で色付けされているという印象。
日本のジャジーヒップホップは基本的にジャズといってもかなり特定エリアの”ジャズ”が多いんだけど、あとの数曲の個別レビューでも触れる通り今作はジャジーヒップホップと銘打つに恥じないような、(すなわち日本語ラップ作品では本当に珍しい、)TSUTAYAのカフェジャズ系のコンピとかに入っててもおかしくないような作品までちゃんと収録されている。あとはもう少しリキッドジャズっぽいのがあると最高に俺好みだった。(ちなみに俺プロデュースの楽曲だとNon-VerbalがLiquid JazzでTipsy CloudsはSwing Jazz寄りかな。適当に言ってたらごめん)

相変わらずジャズビートにばっちばちにかましていてなんなんだこの人はという感じなのだが、現場で見るラッパーにろくなのがいないせいなのかもしれない。すなわちその辺のラッパーの大半よりは遥かに綺麗にラップできるので、心地よく小気味よくリズムの隙間にハメ込まれていくTA-TIの良さたるフローは今作でも健在だといえる。
リリックで見てもTA-TIの優しさがストレートに出ていて、たとえばヒップホップ界隈で一般に(掃いて捨てるほどみる)”感謝”とは同じストレートでもベクトルがかなり違う。中でもKomori-Utaで最後のバースは「別に長生きしなくていいから、ただあなたも”らしく“あってほしい」で締められている。日本語ラップのリリックとしてはいい意味で裏切られるラインで久々に面白かった。

そんな感じでアルバム全体にわたってTA-TIの好みが遺憾無く発揮されているわけだが、だからこそアルバム全体でみるとどうしても冗長な部分があるのは否定できず、通しで聴くにはもう少し緩急があってもいいかなとも思う。まあこのご時世アルバムを通して聴くことはもはや無いに等しいし、ストリーミングで好きな曲だけかいつまんで聴く今の音楽鑑賞スタイルではなんら問題はないのかもしれないが。
ちなみに(恥をかき捨てて言うが)、前作では俺の提供した2曲(Non-Verbal、Imagination)で唐突にBPMを落としたり急にやかましくなったりするのが確実に緩急になっていた。色物ビートメイカーはなんだかんだ必要なのだ。

そして今作は前作にも増して自身も所属するヒップホップクルーBSC Crewが制作陣のかなりを占めている。拡大を続けるBSCは(まだ水面下ではあるものの)かなり調子がいいようなので、今後大きくなっていくことに期待したい。人材のバラエティ含め5年かもっと前のPitch Odd Mansion(唾奇もSWもそれほど来てなかった頃)を彷彿とさせる。現状でTA-TI、2RABU、RESINを並べただけでもかなり個性が立っているので、今のうちから投資しておくのも悪くない。あとWebにでもメンバーをちゃんとまとめてくれ。

個別の楽曲についても何曲かかいつまんで書くと(俺が書くとどうしてもビートの話+ラッパーの悪口になるので少ししか書かないが)、まずタイトル曲でもあるNice to Beat Youはカフェでそのままかかっていても違和感がないぐらい”ちゃんとジャジーヒップホップをやっている”という感じ。いくらジャジーヒップホップ(笑)とかいってもカフェジャズとしてそのまま聞ける曲は本当に滅多にない。俺はGW後半の朝っぱらからオシャレカフェでパンケーキを食みながらこれを書いてるんだけど、店内のBGMよりこの曲の方が店の雰囲気にあっているレベル。曲名が人でも殺しそうなタイトルでなんともアレだが、フランスのビートメイカーKarmawiNをプロデュースに迎え、インストでも聴き込める良ビートの上キレイにまとまっている。

BreakthroughはTA-TI作品に長く携わるYottiのビート。アルバムの中でも群を抜いてCafe Jazz感のある上ネタにYottiいつも通りとも言える落ち着いたブレイクビーツが添えられ、400小節(25バース分)ぐらいループで聞かされても全く苦にならない仕上がり。(ただし、いつも通りといってもYotti作品はTA-TI関連とSleep Talking [Salpha]しか聴いたことはないので偉そうなことは言えない。)

Beyond the Memoryは、TA-TIバースの入りのタイミングの独特さがかなり気持ちのいい一曲。何がそう面白いんだろうとよく聞くと実際には単に1拍前から入っているだけなのだが、おそらくバース開始までドラムが入っておらず小節感があまり感じられないところに唐突にバースが入ってくる上に、そこに絶妙にもたれたキックがついてくる感じがいいんじゃないだろうか。そしてDJ Taijiの擦りは相変わらずヒップホップへのリスペクトを感じさせて「文脈〜〜〜〜」という感じがある。18から変わらず好きな数少ないDJのひとりなので、本記事でもBSCの中で唯一呼び捨てするのに後ろ髪を引かれる。俺が名古屋にいる間にSKC48のゲストに呼びたかった。

そしてDreamin’では(俺のビートだからここは正直に言うけど)、唐突にジャズ感を失い完全な”ちょっと小洒落た静かなピアノポップ”へと変貌する。率直にいってジャジーヒップホップかは微妙なところではあるものの、アンダーグラウンドなヒップホップでは本当になかなか見ないレベルでドリーミーな雰囲気に仕上がっている。間違いなく良曲なので是非とも聴いてほしいところ。ただ、欲を言うならバックコーラスのガヤが右後方から急に前に出てくるので気持ち遠ざけた方がいい。
ちょうど耳がぶっ壊れていた(片耳が難聴寸前で全然聞こえなかった)頃のビートなので改善点は多いものの、Arranged by Volta Mastersということでアウトロに絶妙なサックスを入れていただき、俺の言うところの”音楽的な良さ”が格段に高まった。編曲がいかに大事かがよくわかるし俺も身近に頼れる編曲家を置きたくなる。

最後に下弦の月だが、この曲はリリックで見てもフローで見ても、ある意味では「一番これまで通りのTA-TI」が聴ける。Volta Mastersプロデュースの非常にバランスのとれたビートの上、シンガーAkieとのセッションでいつも通りのポジティブが丁寧に織り込まれている。

そう、『下弦の月』はこの状態でも十分すぎるほど綺麗にまとまっているのだが、ここではあえてもう少し書こうと思う。というのもせっかく客演にシンガーを入れているにも関わらず全体で曲が3分強しかないのは物足りなさを感じるところではある。ジャズの即興性などというと求めるところが高すぎるかもしれないが、これだけ著名なプロデューサーと実力あるシンガーを迎えているので、音楽性を追及して5分程度しっかり聴かせる楽曲に仕上がっていれば尚良しといったところ。優等生的な綺麗さや厳密性よりも、少し外したブラックさも即興性(日本的な解釈なら刹那であり一期一会ともいえる)を良しとするジャズ(そして何よりそれをベースとして成り立つヒップホップにおいてはなおさら)の良さだと俺は思う。ただしジャズに厳密性を求める人もそれはそれで多いので、あくまで俺の意見として理解してほしい。
念のために言うとこれはTA-TIのアルバムを貶しているというより、そもそもその辺のラッパーの「基本的にひたすらバースとフックが順番に聴けるだけのアルバム」にはハナから音楽的な面白さなど期待できないから言わないだけのことだと理解してほしい。たとえば俺がトラックメイカーとしてアウトロに音楽性を詰めてもラッパーが平気で上からフックをもう一回被せてきたりする程度にはラッパーはラップにしか興味がないので、そういう人たちに音楽好きなどと言われたくはないし、”音楽的な良さ”に邁進できそうなアーティストにはより高い水準を要求していきたいのだ。

そんな感じで、月並みではあるがヒップホップに興味のない(=無関心。嫌いではなく。)人が聞いたらどう思うんだろうかと思わせる蒐集であった。とはいえおそらく10曲全部聞かせるのは到底無理というもので、俺だって突然「このメロコアのアルバムは一般人でも聴けるレベルでマジでいいから通して聴いて感想教えて!」と言われたら相当キツいので、取り急ぎカフェのBGMに使ってもらって客の雰囲気を観察したい。んで1日みて客が一人でもShazamするとか話題に出すとかしたら一般人向けには十分な品質が担保できていると思う。

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World is… feat. NNC / Lunniebeats




このまま自分の新曲の紹介もします。
今回はProduced by Lunniebeats楽曲として、ラッパーでDJのNNC(ナナシ) a.k.a. DJ KYOHEIさんを客演に迎え一曲作りました。ここ半年ぐらいずっと歌入れを模索していましたが、ついに一曲仕上げることができました。ただのHOOKシンガーで終わらない音楽的な面白さをなるべく追求していくため今回は3rd verseで掛け合いをやりましたが、これはクルー「The SACRIFICE LSD」時代にイマイチやれなかったことを形にしただけです。
この曲World is…は基本的にはネガティブな現状にポジティブを見出す感じの曲であんまりヒップホップっぽいテーマではないんだけど、NNCさんのドープな声とレイドバックなフローがうまくhookとマッチして全体としてはかなりいい感じに仕上がってるんじゃないかな。

最近はUSでもいわゆるよくあるトラップビートの上ネタに昔ながらのオールドスクールなブレイクビーツが乗っかってたりするし、トラップからの回帰というか少し反動みたいなものにちょうどぶつかる感じも狙っていきたいところ。というかここ1年ぐらいずっと狙ってBPM70でトラップノリのジャズビートを作ってきたのがやっとその時が近づいてきたのでまさにここからなんですよ。

そんな感じで今年度はWAVEとChillstepっぽい感じでやります。

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Excess Recordings再始動

俺が勝手にやっているレーベルをもう一度走らせます。いろいろ人間が飛んだり諸々あってやりたいことがもう1年ぐらい全く進んでいないのでもう他人には頼らず基本的に一人で全部やります。

Apple Music、SpotifyなどでLunniebeatsで検索していただければわかりますが、この3日間で4枚6曲(World is… feat. NNC, Just Another Days feat. TA-TI, Limpid River of Silence, Imagination (Remix), Sail to Tomorrow, Lost Days)をリリースしています。まだ申請中ですがこのあとも過去曲として2枚6曲のリリースが控えています。さらに現在進行中のプロジェクトと変名のプロジェクト(ドラムンベース向け名義のUNLOGIKAL、トラップ向けのMad-Jacquline Muzik)も合わせると今年はシングル、EP、アルバム合わせて30曲ぐらいは商業ストリーミング向けにリリースできそうです。現場でパイセンがた相手にバックDJとかやってもマジでクソつまんねーしひたすらラボに籠って制作するのが俺には性に合っているようです。


あと次これやるんで、静か目なビートをハードに乗りこなせてフローがイケてるラッパーさん、お待ちしております。

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