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耳管開放症, SAS, 統計解析, 人工知能, プログラミングそれに思考

*

最近レコードの売上が伸びているらしいという話。

   

ここ数年「アナログレコードのブーム再燃」という記事が定期的にあがってきます。DJ業界の人間としては喜ばしい限りですが、思うところもあるわけです。
 
「実際どれぐらい盛り上がってんの?」
 
という話です。
 
個人的に、いいニュースだとその真偽を疑わない傾向は良くないと思っているので、適当にデータ集めてみたいと思います。なんかみっともない記事になっちゃいましたが。
 

1 ここ数年どうなん?

 
 

一時は絶滅も間近と思われていたアメリカでのアナログレコードの販売量は、2005年から2013年までの8年間で6倍以上に増えた。
レコードが絶滅の危機から復活。売上が8年間で6倍以上に

 
 
なるほど、アメリカ、イギリス辺りでは確かに近年レコードの販売量が伸びているようです。

日本の音楽産業の動きは、アメリカの動きに数年遅れでついていくという話があります。
ということで日本でのレコード生産の現状はどうかというと、2015年1月に以下のような記事が上がっています。
 
 

日本で唯一のアナログレコード制作工場の東洋化成では、今年はやくも昨年一年間の件数を大きく上回る受注が集まっているという。
アナログレコード人気復活 限定盤と低価格プレイヤーが牽引 (NEWS ポストセブン) – Yahoo!ニュース

 
 
これは2015年1月終わりの記事なので、1ヶ月で前年比100%以上の受注が来ているというわけですね。これが12ヶ月続いて単純計算で年間1200%の伸びになったら面白いんですけど。
そんな感じで「すげえ売れてんじゃん!」と思う反面で、「そもそも絶滅寸前だったんだから、売上が数倍伸びたからって実際どれぐらい持ち直してるんだ?」という話にもなります。
ということでここ数年の日本のレコード生産量の推移に関するグラフを作ってみました。

近似曲線を設定して大体の流れを掴んでます。
(2次関数で近似したので当たり前ですが)後半が持ち上がっています。ちなみに1次関数で近似するとどん底です。

…余談ですが、このご時世に統計データがcsvでダウンロードできるようになっていなかったり、ウェブ上のアナログレコードの生産量の推移に関するグラフが2013年から更新されていなかったり、さすがとしか言いようがありません。
2014年のアナログ売上は(どこに載ってるのか発見できませんでしたが)日本レコード協会調べで前年比166%だそうなのでそこから計算して自分でグラフを作り直しました。

2 全盛期と比べてどうなん?

twitterでたまたま「どんだけレコードの売上が持ち直したっていったって、全盛期に比べたらほとんど変わってないようなもんだ」という言及を見ました。
そこでネットを漁っていたところ、アメリカレコード協会のアナログレコードのデータを元にした以下のようなグラフが見つかりました。
 
 


(RIAA:アメリカレコード協会)

 
 
これは実際にレコードが音楽メディアの主流だった頃と今のレコードブームの再燃をまとめて比較できるグラフです。
なるほど。確かに持ち直してるのは持ち直してるんですけど、未だ絶滅危惧種であることに変わりはないようです。ギリギリ誤差とは言いきれない程度には成長してると言えるような言えないような。
 
レコード協会の統計データを元に日本のものも作ってみましたが、まあまあ似たような動きを見せていました。
 

3 他のメディアと比べてどうなん?

最後にアナログレコード、カセット、CDの生産量と音楽配信の売上数量の推移をグラフにして貼っておきます。

データが中途半端なので非常に不恰好なグラフになってしまいましたが、このグラフから分かることは「多少のアナログレコードの売上の持ち直しでは音楽産業全体の規模の縮小には全く太刀打ちできていない」ということです。
ここにSpotifyのようなサブスクリプション系のサービスが増えていくといよいよどうなっていくんでしょうね。おそらく全体の金額ベースではがっつり下がりそうな感じがします。ただ、フィジカルメディアも含めての全体の再生回数は増えるかもしれませんね。それを音楽産業の成長と呼ぶか衰退と呼ぶかはあなた次第です。

プログラム

実は今回は統計ソフトRの練習も兼ねていたので、最後に近似グラフ書くのに使ったRのプログラムを貼っときます。読み込みに使ったデータは日本レコード協会のウェブサイトから自力でコピーしてきたものなんで、自力でデータ用意していただければ似たようなことはできます。

#データ読み込み
recent<-read.csv("vinylRecent.csv")

#単回帰で近似曲線を作成
x<-recent[,1] #X軸(西暦)
y<-recent[,2] #Y軸(アナログレコード生産量)
model <- nls(y ~ (a*(x-b)^2 + c), start = c(a=1, b=2010,c=100)) #二次関数のモデル作成
predict<-predict(model)
#近似モデル作成時には目視でおよその初期値を与えないとマジメに計算してくれない(仕様)

#元データと近似曲線のプロット
plot(recent$year,recent$sales, ylab="",xlab="")
par(new=T)
plot(x,predict,type = "l",axes = FALSE, ylab="",xlab="")
mtext("amount", side = 2, line = 2.5)
mtext("year", side = 1, line = 2.5)
mtext("Vinyl Production (Recent)", side = 3, line = 1)

#積み上げグラフの作成
total<-cbind(raw$vinyl,raw$casette,raw$cd,raw$dist_total)
total<-t(total) #行列が逆だったので転地
label<-c("vinyl","casette","cd","digital")
barplot(total,
        col=cm.colors(nrow(total)),
        legend.text=label,
        args.legend = list(x = 15, y = max(colSums(total)))
        )
mtext("amount", side = 2, line = 2.5)
mtext("year", side = 1, line = 1)
mtext("each production", side = 3, line = 1)

 
 


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